勇者エイトの医学blog

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今までいろんな方のブログのお世話になった国公立大学医学部6年生が何か還元するためにと立ち上げたブログです.

百日咳にて白血球数が上昇するが,非特異的炎症所見に乏しい理由

百日咳にて白血球数が上昇するも,非特異的炎症所見に乏しい理由

ご存知の通り,百日咳の典型症例においては 

  • 白血球数(WBC)が上昇し,リンパ球の著明な増多を認める.
  • 一方で,高度な発熱は呈さず,CRP,赤沈は上昇しないことが多い.

 

なぜリンパ球優位に白血球数が上昇するか

百日咳菌は多数の抗原をもつことが知られているが,そのうちPT(Pertussis toxin:百日咳毒素)は,リンパ球増多活性を持つ外毒素として作用する.このためリンパ球優位に白血球数が増加する.

つまり,単なる『毒素による増加』である.

 

なぜ非特異的炎症所見に乏しいか

百日咳菌は粘膜のみを傷害し,組織深部まで侵入することはないことが知られている.

故に,組織破壊を反映する炎症反応は目立たない

 

考察

ついでに粘膜病変なので,かはわからないが,百日咳抗体はIgAが主体である.

IgA抗体は胎盤通過性がないため,DPTワクチンを摂取していないかつ,親からの免疫のない百日咳は,新生児で当然かかりやすい.

と覚えるとよいかも.

 

百日咳菌はグラム陰性桿菌(GNR).

治療薬はマクロライド系が1stであるが,ペニシリン系の中で唯一ピペラシリンが効くという報告もある.テトラサイクリン系も使用できるが,8歳以上にしか使用できない.

ペニシリン系,セフェム系,アミノグリコシド系,ニューキノロン系は無効

 

参考文献:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpp1990/11/1/11_1_4/_pdf