百日咳にて白血球数が上昇するが,非特異的炎症所見に乏しい理由
百日咳にて白血球数が上昇するも,非特異的炎症所見に乏しい理由
ご存知の通り,百日咳の典型症例においては
なぜリンパ球優位に白血球数が上昇するか
百日咳菌は多数の抗原をもつことが知られているが,そのうちPT(Pertussis toxin:百日咳毒素)は,リンパ球増多活性を持つ外毒素として作用する.このためリンパ球優位に白血球数が増加する.
つまり,単なる『毒素による増加』である.
なぜ非特異的炎症所見に乏しいか
百日咳菌は粘膜のみを傷害し,組織深部まで侵入することはないことが知られている.
故に,組織破壊を反映する炎症反応は目立たない.
考察
ついでに粘膜病変なので,かはわからないが,百日咳抗体はIgAが主体である.
IgA抗体は胎盤通過性がないため,DPTワクチンを摂取していないかつ,親からの免疫のない百日咳は,新生児で当然かかりやすい.
と覚えるとよいかも.
百日咳菌はグラム陰性桿菌(GNR).
治療薬はマクロライド系が1stであるが,ペニシリン系の中で唯一ピペラシリンが効くという報告もある.テトラサイクリン系も使用できるが,8歳以上にしか使用できない.
ペニシリン系,セフェム系,アミノグリコシド系,ニューキノロン系は無効.
参考文献:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpp1990/11/1/11_1_4/_pdf