SLRテスト(ラセーグテスト)とは
SLRテスト(ラセーグテスト)の原理と意義
まず確認しておきたいのは,
詳しくはSLRテスト・ラセーグテスト・ラセーグ徴候の違いと意義 - 勇者エイトの医学blogを参照のこと.
- 『SLRテスト = ラセーグテスト』
- 『SLRテスト ≠ ラセーグ徴候』
検査の原理
腰椎椎間板ヘルニアにおいて,L4以下の神経を髄核が圧迫し,神経が過剰興奮状態になっていると仮定する.
SLRテストとは,そのよう過剰興奮状態の神経に対して下肢を伸展・挙上するような伸長ストレスを与えることで神経由来の痛みを誘発することを確認する試験.
正常状態の神経であれば痛みは誘発しない.
検査の意義は?
検査する対象の神経はL4レベル以下,つまり坐骨神経が対象.神経支配領域に従って疼痛を生じた場合には,坐骨神経痛を疑う.
椎間板ヘルニアに対して感度0.8,特異度0.5とスクリーニングに有用.
しかし詐病が可能であり,交通事故後遺症の裁判においては重要視されないようである.
SLRテスト・ラセーグテスト・ラセーグ徴候の違いと意義
まずは結論から
今回覚えておきたいこと
現代医学では,
『SLRテスト = ラセーグテスト』
『SLRテスト ≠ ラセーグ徴候』
以下詳細を記載します.
用語の確認
- SLRテスト(Straight Leg Raising test/下肢伸展挙上試験)
- ラセーグテスト(Lasègue test)
- ラセーグ徴候(Lasègue test)
☞ Lasègueはフランス人整形外科医
SLRテストとラセーグテスト
本来のラセーグテストには,第一手技(a)と第二手技(b)がありました.
第一手技(a)がSLRテストと同一のものです.
SLRテスト(ラセーグテスト〈第一手技〉)
患者を背臥位にし,下肢を伸展,挙上することで痛みを誘発させる手技.
しかし用語が混同されはじめ,次第に「ラセーグテスト」はSLRテストである第一手技(a)のみを指し示すようになりました.
現代医学においては,『SLRテスト = ラセーグテスト』です.
ラセーグ徴候とは
第二手技(b)がラセーグ徴候です.
ラセーグ徴候とは
患者は背臥位にし,股関節の屈曲の際に膝関節も同時に屈曲させるテスト.
痛みの減弱が得られれば、ラセーグ徴候陽性となる.
故に『SLRテスト≠ラセーグ徴候』です.
SLRテスト(ラセーグテスト)において
膝が伸展し,大腿屈筋群が伸長されている.
大腿屈筋群の伸長は,筋膜連結のある臀部の筋の伸長を伴う.
故に坐骨神経痛において,ラセーグ第二手技では,臀部の筋の圧迫を軽減することになる.
検査結果の解釈
- SLRテスト陽性かつ,ラセーグ徴候陽性
☞ 臀部の筋由来の坐骨神経痛は否定され,より腰椎椎間板ヘルニアの可能性が高まる.
- SLRテスト陽性かつ,ラセーグ徴候陰性
☞ 臀部の筋由来の坐骨神経痛を疑う.梨状筋症候群など.
椎間板ヘルニアの時,簡易に局在診断を行うとすれば腱反射が利用可能.
膝蓋腱反射であればL4,アキレス腱反射であればL5.この他,デルマトームに沿った部分の知覚検査,筋力検査でも同様にヘルニアのレベルを推定することが可能.
これらの検査と,MRIのような画像での精密検査を組み合わせ,より詳細な診断が可能となる.
せん妄の治療
せん妄の治療
○食べれるか否かがまず重要
内服 or 注射は食べれるか否かで決定する.
○睡眠障害の原因の評価を確実に行う
不眠 vs せん妄 鑑別をしっかりする.
不眠に対して,睡眠薬のみ入れようとしたら,潜在的なせん妄に気がつかず,単独投与になってしまった…なんてこともありえる!
他にも,坐薬の鎮静にも使うフェノバルビタール(抗てんかん薬)などの薬剤についてもそう.
ついうっかり「眠れそう」と思って使うけど,これらの薬剤は,単独投与すること自体が,せん妄を惹起する.
○注射薬使い分け
ハロペリドール(非定型),クロルプロマジン(コントミン®︎)ぐらいしかない
ex. ハロペリは混乱は取れるが眠れはしない.
アタピー(アタラックスP®︎)を入れるなら,ハロペリ/リスペリドン(リスパダール®︎)と必ず併用.せん妄惹起薬剤に注意!
同様にBZO単独もダメ!
○内服薬使い分け
外科的には,
- リスペリドン 0.5mg,1錠内服.
危ないなと思ったら,不眠時・不穏時もいれる
- クエチアピン
高齢者の死亡危険度⬆︎という話がある.
糖尿病に禁忌.
リスペリドンより効果短い
もともとは抗うつ薬.
どちらかというと,希死念慮のある鬱々な人や,高齢者に良い適応.
ヒスタミン・セロトニン・アドレナリンの3受容体に作用.
25〜150mgまで増やせる.
抗コリン作用が弱いので,便秘や口渇が少ない.
効果が乏しい時,ロゼレム®︎やベルソムラ®︎を併用する.単独はせん妄惹起するので注意.
『緩和ケア』 Vol. 27 No.2 MAR. 2017 p.120-121
せん妄を診断するには
せん妄を診断するには
○ せん妄を見つける有効な質問
「変なものが見えて怖い思いはありますか?」
「怖い夢を見たりしていないですか?」
☞ 記憶が残っていることが多い.
☞ せん妄には日内変動がある.
正常な時は忘れたがり,言いたがらない.医療者側から積極的に聞くと答えてくれる確率が高い.
○ せん妄の二大症状
- 睡眠覚醒リズム
- 注意力低下
☞ 会話への注意力で判断できる.話が途中で止まったり,どんどん話が違う方向に行ったり.
○ せん妄の知っておくべきサブタイプ
低活動型もある,疑わないとわからないのがせん妄.
☞ 食事量⬇︎,仮面様顔貌などが全面の場合もある.
☞ 「家でどうでしたか?」と家族に聞くのが大事.
○ せん妄 vs 認知症
変なこと言ってる時もあるけど,回診などで自分が行くとわかってくれてる.
☞ これは意識障害なし.
☞ せん妄ではなく認知症を疑う.
○ せん妄の準備因子
アルコール多飲歴が原因となりうることは,意外と忘れやすい.
○ せん妄の促進因子
せん妄を防止するために,入院時に補聴器や眼鏡の持参をさせる.
○ 意外なせん妄
抗コリン → 尿閉,排尿障害からのせん妄に注意.
☞ 導尿で治る
○ せん妄をきたす汎用性の高い薬剤3つ
- BZO単独
- 抗ヒスタミン薬
- 抗コリン薬
○ せん妄をきたす覚えておきたい薬剤2つ
- H2 blocker
- β blocker
リスク軽い人には予防的に,リスペリドン(リスパダール®︎)使ったり.
最近はトラゾドンの方がよかったり.