勇者エイトの医学blog

国家試験対策の勉強ばかりで退屈な毎日. そんな中で興味のあることについて唯一Outputすることができる場.

今までいろんな方のブログのお世話になった国公立大学医学部6年生が何か還元するためにと立ち上げたブログです.

SLRテスト・ラセーグテスト・ラセーグ徴候の違いと意義

まずは結論から

今回覚えておきたいこと

現代医学では,

『SLRテスト = ラセーグテスト』

『SLRテスト ラセーグ徴候』

 

 

以下詳細を記載します.

 

用語の確認

  • SLRテスト(Straight Leg Raising test/下肢伸展挙上試験)
  • ラセーグテスト(Lasègue test)
  • ラセーグ徴候(Lasègue test)

  ☞ Lasègueはフランス人整形外科医

SLRテストとラセーグテスト

本来のラセーグテストには,第一手技(a)と第二手技(b)がありました.

 

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第一手技(a)SLRテストと同一のものです

SLRテスト(ラセーグテスト〈第一手技〉)

患者を背臥位にし,下肢を伸展,挙上することで痛みを誘発させる手技.

SLRテスト(ラセーグテスト)とは - 勇者エイトの医学blog

しかし用語が混同されはじめ,次第に「ラセーグテスト」はSLRテストである第一手技(a)のみを指し示すようになりました.

現代医学においては,SLRテスト = ラセーグテストです.

 

ラセーグ徴候とは

第二手技(b)がラセーグ徴候です.

ラセーグ徴候とは

患者は背臥位にし,股関節の屈曲の際に膝関節も同時に屈曲させるテスト.

痛みの減弱が得られれば、ラセーグ徴候陽性となる.

故にSLRテストラセーグ徴候です.

 

 

SLRテスト(ラセーグテスト)において

膝が伸展し,大腿屈筋群が伸長されている.

大腿屈筋群の伸長は,筋膜連結のある臀部の筋の伸長を伴う.

 

故に坐骨神経痛において,ラセーグ第二手技では,臀部の筋の圧迫を軽減することになる.

 

検査結果の解釈

  • SLRテスト陽性かつ,ラセーグ徴候陽性

☞ 臀部の筋由来の坐骨神経痛は否定され,より腰椎椎間板ヘルニアの可能性が高まる.

鑑別:腰椎部の脊椎分離すべり症,腰部脊椎管狭窄症馬尾腫瘍

 

  • SLRテスト陽性かつ,ラセーグ徴候陰性

☞ 臀部の筋由来の坐骨神経痛を疑う.梨状筋症候群など.

 

 

椎間板ヘルニアの時,簡易に局在診断を行うとすれば腱反射が利用可能.

膝蓋腱反射であればL4,アキレス腱反射であればL5.この他,デルマトームに沿った部分の知覚検査,筋力検査でも同様にヘルニアのレベルを推定することが可能.

これらの検査と,MRIのような画像での精密検査を組み合わせ,より詳細な診断が可能となる.