SLRテスト・ラセーグテスト・ラセーグ徴候の違いと意義
まずは結論から
今回覚えておきたいこと
現代医学では,
『SLRテスト = ラセーグテスト』
『SLRテスト ≠ ラセーグ徴候』
以下詳細を記載します.
用語の確認
- SLRテスト(Straight Leg Raising test/下肢伸展挙上試験)
- ラセーグテスト(Lasègue test)
- ラセーグ徴候(Lasègue test)
☞ Lasègueはフランス人整形外科医
SLRテストとラセーグテスト
本来のラセーグテストには,第一手技(a)と第二手技(b)がありました.
第一手技(a)がSLRテストと同一のものです.
SLRテスト(ラセーグテスト〈第一手技〉)
患者を背臥位にし,下肢を伸展,挙上することで痛みを誘発させる手技.
しかし用語が混同されはじめ,次第に「ラセーグテスト」はSLRテストである第一手技(a)のみを指し示すようになりました.
現代医学においては,『SLRテスト = ラセーグテスト』です.
ラセーグ徴候とは
第二手技(b)がラセーグ徴候です.
ラセーグ徴候とは
患者は背臥位にし,股関節の屈曲の際に膝関節も同時に屈曲させるテスト.
痛みの減弱が得られれば、ラセーグ徴候陽性となる.
故に『SLRテスト≠ラセーグ徴候』です.
SLRテスト(ラセーグテスト)において
膝が伸展し,大腿屈筋群が伸長されている.
大腿屈筋群の伸長は,筋膜連結のある臀部の筋の伸長を伴う.
故に坐骨神経痛において,ラセーグ第二手技では,臀部の筋の圧迫を軽減することになる.
検査結果の解釈
- SLRテスト陽性かつ,ラセーグ徴候陽性
☞ 臀部の筋由来の坐骨神経痛は否定され,より腰椎椎間板ヘルニアの可能性が高まる.
- SLRテスト陽性かつ,ラセーグ徴候陰性
☞ 臀部の筋由来の坐骨神経痛を疑う.梨状筋症候群など.
椎間板ヘルニアの時,簡易に局在診断を行うとすれば腱反射が利用可能.
膝蓋腱反射であればL4,アキレス腱反射であればL5.この他,デルマトームに沿った部分の知覚検査,筋力検査でも同様にヘルニアのレベルを推定することが可能.
これらの検査と,MRIのような画像での精密検査を組み合わせ,より詳細な診断が可能となる.