勇者エイトの医学blog

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今までいろんな方のブログのお世話になった国公立大学医学部6年生が何か還元するためにと立ち上げたブログです.

傍脳室部の線状・放射線状造影所見を呈したからといって自己免疫性GFAPアストロサイトパチーとは限らない

傍脳室部の線状・放射線状造影所見を呈したからといって自己免疫性GFAPアストロサイトパチーとは限らない

一般的に, 脳MRIにおいて, 側脳室から周囲へ線状・放射状にのびる, 血管周囲のガドリニウム造影効果を伴う自己免疫ステロイド応答性髄膜脳脊髄炎は, 自己免疫性GFAPアストロサイトパチーの特徴的画像所見のひとつとされている.

しかしながら, 自己免疫性GFAPアストロサイトパチー様の症状を呈し, MRIにて放射状血管周囲ガドリニウムの造影所見を伴うも, 抗GFAP抗体が陰性であった症例が報告された. 

 

亜急性インフルエンザ様症状を呈し, 重度の認知症状, 神経学的障害, 意識障害を発症した.

MRIにて, 側脳室から白質に広がる放射状血管周囲ガドリニウムの造影効果を認めた. 

自己免疫性GFAPアストロサイトパチーと診断し, 高用量のメチルプレドニゾロン投与によく反応した.

しかし, 血清とCSFにて抗GFAP抗体は陰性であり, 脳組織やアストロサイトに対する反応性を示さなかった.

抗GFAP抗体陰性患者の神経病理学的検査により, 血管周囲のマクロファージおよびT細胞の浸潤, classmadendrosisの明らかな特徴のないミクログリアの活性化を認めた.

GFAP抗体陰性患者は, 顕著な抗体陽性例との臨床的類似性と免疫療法への即時反応性の両方を有した.

この症例の存在により, 自己免疫性GFAPアストロサイトパチーを示唆するステロイド応答性髄膜脳脊髄炎の臨床的範囲がより広く, 血清陰性の場合も含むという仮説も考慮しなければならない. 

また本症例の存在は, 抗GFAP抗体が病気の本態ではないという仮説も支持しうる. 

Encephalitis with radial perivascular emphasis: Not necessarily associated with GFAP antibodies.
Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2020 Feb 4;7(2). pii: e670. doi: 10.1212/NXI.0000000000000670. Print 2020 Mar 5.
Wickel J, Chung HY, Kirchhof K, Boeckler D, Merkelbach S, Kuzman P, Mueller WC, Geis C, Günther A.